(2005.10.02)     


「 蘭 亭 叙 全 臨 其 の 六 」折帖 完


故列叙時人、

故(ゆえ)に時人(じじん)を
列叙(れつじょ)し


録其所述。

其の述(の)ぶる所を録し



雖世殊(事異)

世異なり事異なりと
雖(いえど)も

(事異)

所以興懐

懐を興す所以(ゆえん)は


其致一也

その致(ち)は一なり。



後之覧者

後の覧る者、


亦将有感於斯文。

亦(また)将(まさ)に

斯(この)文に感ずる

有らんとす。


               

                     蘭亭叙折帖を終えて

  書道を習う人なら誰でもが一度は目にする「蘭亭叙」は、あまりにも有名です。
  そして微に入り細に入り、矯めつ眇めつ観察されていると思います。
  書に親しんでから日の浅い私が、折帖(厚手の和紙を屏風たたみにして表紙を付けた物)
  という書き直しのきかないもので書く事は、絶大な緊張と集中を必要としました。

  ホームページにこのような大きさで開示することは、実力のほども何もかもを白日の下に
  さらす行為ですので、正直申せばためらいもありました。まして、今見直して見れば、
  修正したい所ばかりが見目に付きます。それでもあえて公開させて頂いたのは、解読する  
  のに非常に困難なお手本を前にして、私なりの解釈をするにつけても、勉強中の他の人が、  
  どのように書いているのか、その時にとても見たかったことにありました。
  美術館に出かけ有名な臨書も数多く見ました。有名な優れた書家の作品は素晴しいです。
  ただ技術的に至らない私が書くとするならば、と言う視点では、遠い存在に思えました。
  ですので、この作品は勉強中の方の一参考としてです。

  臨書については別に述べますが、「他人の真似をして何が面白い」と思われる方が居ると
  存じますが、絵画でいえば模写ですが、書した作者の人となりや生き方、時代の風の流れ
  それらを全て内包して、時空を超えて現在目にすることが出来る素晴しさを思うと、それに
  迫れることは幸せだと思います。
  王羲之に出会えて、曲水の宴に思いを馳せ、そのさざめきを遠くに聞き、、、

  折帖は半紙と違い一回勝負です。何十枚も中から選んだものとは、性格が異なります。
  初めは緊張でガチガチになりました。そしてだんだん筆ものって来て、終盤は気力、体力
  の勝負になりました。約8時間に及ぶ体験は、他では味わうことのできない、エキサイティ
  ングなものでした。そして、とても良い勉強になりました。
  紙に助けられ、墨に助けられ、筆に助けられての作業でした。

  未熟ながらも仕上げる事ができましたのは、言うまでも無く恩師の存在があったからです。
  そして、素晴しい書き味の折帖(紙:越前和紙)を作って下さった叶剏エ商店様。品のいい
  墨色とのびのいい墨「天爵」を作って下さった竃n運堂様。美しい穂先をみごとに出して
  くれる筆「洛北小」を制作して下さった龍枝堂蒲l。営々と築き、継承されてきた匠の技。
  皆々様に心より感謝いたします。

                                         谷川 雫 (澗泉)



蘭亭叙全臨其の五へ戻る




古典臨書作品の部屋へ戻る

雫の家書道TOPへ戻る